著者
新妻 昭夫
出版者
恵泉女学園大学
雑誌
恵泉女学園大学園芸文化研究所報告 : 園芸文化
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-13, 2007-05

ヴィクトリア駅から歩いて10分ほどのところに、あの王立園芸協会(Royal Horticultural Society:以下ではRHSと略記する)の本部がある。その一角を占めるリンドリー図書館(Lindley Library)は市民に無料で開放されていて、会員・非会員を問わず誰でも自由に利用することができ、また国籍も問われない。地階の閲覧室に入れば、ガーデニングや園芸の関連図書が開架式の棚に並んでいる。周囲の壁面の天井まで届く書棚には1787年から今日まで続く「カーティス・ボタニカル・マガジン((02) Curtis's Botanical Magazine)」が創刊号から並べられ、美しい植物画を手にとって堪能するという贅沢を味わうことができる。また「ガーデニング雑誌の世界」の基礎資料とされる「ガーデナーズ・クロニクル((25) Gardeners' Chronicle)」誌も、全巻(1841-1969)が書棚にずっしりと位置を占めている。
著者
穂鷹 知美
出版者
恵泉女学園大学
雑誌
恵泉女学園大学園芸文化研究所報告 : 園芸文化
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-37, 2005-05-27

19世紀から20世紀初頭にかけて、ドイツにおいては室内植物栽培が一般家庭で愛好されるようになり、広く定着していった。本論ではこの過程を、植物栽培についての見方の変化や、当時の社会状況・生活様式の変化との関連から考察し、同時期にみられる公共緑地の設置など、都市全体を対象にした緑化の動向との関係性について探っていった。また、人気植物の傾向や、紙や絹などからつくられた植物および乾燥・着色などの人為的に加工された植物が、本物の植物に代わって、人気を博して普及するという同時並行的な現象から、近代における植物愛好の意味と特徴を読み取ろうと試みた。